酒場で見た人
ナナカマドの月5日 [2]
Prologue.02~05
出張で仕事しているお父さんの顔を見て行くため、ホルンの店に寄った。寄れとは事前に言われてたけど、わざわざ言われなくても長旅前の挨拶くらいはしっかりするよ。人を呼んでおいて散歩で店空けてることの方が問題だと思うよ。
それとお父さんを探しに行った酒場で、不思議な人に逢った。見かけた時の騒ぎにも驚いたけど、今時貴重な銃をいくつも持ってたり、強力な魔法を使ってたり、謎だらけの人だ。一体どこの人なんだろう? 酒場のお姉さんが「変な噂がある」って言ってたのも少し気になる。
僕の早とちりが原因で初対面からドタバタしてしまったけど、魔物が出た時にあのお兄さんがいてくれて本当に助かった。僕、何もできなかったし。
お兄さんの魔法と、お父さんがくれた杖。もし二人がいなかったらって思うと……何だか自分がすごくなさけなく思えてくる。
いきなり自分の未熟さを痛感したけど、お父さんが励ましてくれたのはとても嬉しかった。
できることから、がんばろう。